買った本と読んだ本の備忘録。ジャンルは雑多。詩と小説。文学一般。性科学。歴史などなど。
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Author:安波茶40’s(改安波茶30's)
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絵本作家あまんきみこの「空の絵本」を読んだ。
「車のいろは空のいろ」という絵本が代表作の著者の、意外にもこれがはじめてのエッセイ。 病弱だった著者が、病気で寝ているときに窓から見えるそらに慰められたと振り返るのが「空の絵本」。 エッセイのそこかしこに顔を出す、著者の母親の姿が、不思議と心に残る。きっとこの人は、母親の暖かな愛情に包まれて、こんな美しく優しい話を創作できる感性を育てたんだなあと思う。 母がなくなる前後をつづった「思いだすままに」などで、亡くなった母への著者の思いが見て取れる。 柔らかなタッチの松成真理子のイラストも心休まる一冊です。 【あまんきみこの本】 【松成真理子】
かんべむさし「むさし日曜笑図鑑 」(新潮文庫)を読んだ。
![]() 80年代、SFがまだエンターテイメント小説のメインストリームに出ていない頃、この人や横田順弥のナンセンスSFをよく読んだ。ちょっとした着想を、SFらしい大胆な飛躍で読みものにする作品群。 この著差の作品では「笑い宇宙の旅芸人」というのが、「SFアドベンチャー」に連載されていた。「この話、いったいどこへいくのか?」と首をかしげながら読んでいたなあ。中学生にはちと、難しかったのかも。 先日読んだこのエッセイは大阪弁丸出しの地域性あふれる内容。1983年5月から1985年4月まで「大阪新聞」に連載したもの。 ワープロを買って原稿を書く話が、面白おかしく書かれていて、時代を感じながら読了。 地元大阪の話もたくさん出てくる。大阪の人が読むと、もっと楽しいんでしょうねえ。 山下洋輔 同書は現在絶版。著者の本はほとんど絶版のようです。でも古本屋では良く見かけます。
青山南「気になる言葉、気が散る日々」を読んだ。
「本の雑誌」 図書館で、久々に名前を見たので借りてみました。 面白い。何より、社会人になって、すっかり疎遠になっている海外の翻訳小説についての話がいろいろ出てくるのがいい。どれもこれも、この人が紹介すると、読みたくなるんだよねえ。 文体とか、話の運び方には、どことなく植草甚一 「ギャツビーの涙の岬」には、「グレート・ギャツビー」を書いたフィッツジェラルドと宮沢賢治が同年生だという記述が! うーん、すごいギャップのある同級生だ。 ちなみに、「ジャズ・エイジ」を生きたフィッツジェラルドに対し、宮沢には「『ジャズ』夏のはなしです」を1926年に書いているという。ちなみに「グレート・ギャツビー」は1925年。宮沢のジャズの話、読んでみたいですねえ。 あと、ジャニス・ジョプリン 参考までに「チープ・スリル」はこんなアルバム。
クラムの絵はこんな感じ。
あの濃密で、アンダーグラウンドな画風の背景を示唆するようなエッセイ。ちなみにクラムは、ジャニスのレコードジャケットの原画が返却されず、サザビーズのオークションで天文学的数字で取引されたのを聞いて「あいつらは泥棒だ」と言っているらしい。うん、なんとも70年代チックな話です。 【青山南 エッセイ&翻訳】
差引けば仕合はせ残る年の暮
その肩の無頼のかげや懐手 いずれもノンフィクション作家・沢木耕太郎の父の句。 沢木が父の死を描いた長編エッセイ「無名」を読んだ。
何かに執着するでもなく、不思議な存在感で、沢木だけでなく、家族すべてに影響を与えていた父を、ただ一人の息子である著者が、静かなまなざしで見送る。 死んだ父が好きだった久保田万太郎の句を読んで、沢木がどきっとする場面がある。 さびしさは木をつむあそびつもる雪 私がどきっとしたのはその句に万太郎の「長男耕一、明けて四つなり」という前書きがあったことだった。そこから、私の思いはさまざまに広がった。 外は雪。久保田万太郎がひとりで積み木遊びをしている息子の姿を眺めている。父親である久保田万太郎は、幼い息子のその姿から、ほのぼのとした喜びではなく、哀しみのようなものを覚えてしまう…。 そうなのだ。なぜか息子が生きていることの喜びには、不思議な哀しさがつきまとう。 それは多分、自分の命の有限であることを、実感として感じるからだろう。この子が大きくなっていくのを、自分は見守ることができるだろう。だが、この子が老いていく姿は見られない。そんな諦念だ。 すっかり遠ざかっていた沢木耕太郎の文体。久々に読んで、とても心地良かった。 【沢木耕太郎の本】
吉川英治の「随筆宮本武蔵」を読んだ。
人気大衆小説「宮本武蔵」の著者が、執筆時の史料漁りや、その後の取材などで知りえた話などを集めた本。吉川は「はしがき」でこう書いている。 この随筆の方に収めた内容は、すべて小説化しない武蔵の伝記、史料、遺蹟、口碑、遺墨など、そのままの物を、素材のまま並べてある。 要するに小説素材のウラを展示したものにすぎない。(p13) 小説中の武蔵をどう造形したのかが、うかがえる興味深い本。文庫冒頭に写真で収めた武蔵の手になるという水墨画など、実に見事。乱暴な剣術の徒という私のイメージは大きく変わった。 実際には、武蔵についての史料は非常にわずかしかないのだという。そこから、あれだけの素晴らしい作品を作り出した吉川の想像力もすごい。 興味深かったのは、直木賞 コミック「バカボンド」ファンも、読んだら楽しめるはず。 【吉川英治の本】 |