買った本と読んだ本の備忘録。ジャンルは雑多。詩と小説。文学一般。性科学。歴史などなど。
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Author:安波茶40’s(改安波茶30's)
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アメリカには健康保険に加入していない人間が約4700万人もいるという。その人々は、医療費のすべてを自分で支払わなければならない。
映画冒頭に登場する男性は、そのために自分の傷を自分で縫い合わせてしまう。 これ、けっこういたそう。でも、なぜか笑える。 国民皆保険制度で医療を受けられる日本には関係ない? いやいや。本題はこれから。マイケル・ムーア監督は保険に加入していながら、十分な医療を受けられない人々を次々と登場させながら、大国アメリカの医療制度が抱える問題点をあぶり出していく。 ![]() 「シッコ」の作品紹介はここから 例えば、23歳の時、がんと診断されたある女性は「その若さでがんになるのはおかしい」との理由で保険の給付を拒否され、「系列の病院でなければ治療はできない」と保険会社に言われた女性は、急病の幼い娘を亡くしてしまう。 カナダやフランス、イギリス、さらにアメリカが仮想敵国としているキューバでは、国民が費用負担のことを考えず、医療を受ける様子を合わせて紹介。 病人の健康を害してでも利益を追求しようとする保険会社、その保険会社から多額の献金を受け取る政治家、組織の中での地位を高めるため保険会社の意に沿う診断を下す医師たち。 「市場原理主義」や「自己責任」を振りかざす考え方の行き着く先は、果たしてどこか。日本の医療制度改革の進む方向が、本当に私たちのためになっているのかどうか。 それを考えるヒントが詰め込まれた映画だ。ユーモアたっぷりの構成なので、かたもこらずに、社会の不条理が学べる。 沖縄では那覇市のシネマパレットで公開中です。9月7日まで。 ★追記 好評だったのか、上映が9月21日まで伸びています。 【医療について】
ハリウッドで映画撮影が始まったのは1907年。ちょうど今から100年前のこと。本書では、この1世紀の間、ハリウッドによって「アラブ」はどう描かれてきたかを、無声映画やテレビ映画も含め検討を加えている。
まずはクエスチョン。ディズニーアニメでおなじみのアラジンは、果たして何人か? アラビア人、エジプト人。と思ったら、大間違い。実はオリジナルではアラブ人ではなく、中国人の少年なのだという。しかもアラジンの物語は「千夜一夜物語」の定本には入っていないというから二重の驚きだ。 著者は、こうした誤解が生じてきた背景を、19世紀ヨーロッパが帝国主義的野心から「オリエント」=東方世界に目を向けた歴史的経緯を交えて解き明かしていく。その誤解を世界規模で広めたのはディズニーなどのハリウッド映画によって描かれた「アラジン」だったというわけだ。 多くの日本人が抱いているであろう「野蛮」で「好色」な「アラブ人」というイメージも、私は確かに映画やテレビで培ってきた。いや自分でも恥じ入るばかり。 それにしてもなぜ、アラブ世界はこうしたハリウッドの振る舞いを放置してきたのか。著者はイスラムの偶像崇拝禁止という教義が、「見えるもの」へのイスラムの取り組みの弱さを招いたとする。 「聖書世界とアラブ/イスラム」ではハリウッドの聖書をモチーフにした映画の中でのアラブやイスラムの描かれ方を通して、キリスト教を輝かせるため、いかに聖書そのものの内容がゆがめられ、アラブ世界やイスラム教が貶められてきたのかが説明される。ブッシュ(息子)大統領の演説を引き合いに説き起こす「十字軍の幻想」では、十字軍がもたらしたアラブ世界への災厄が、アラブ世界の目と西洋の目を交錯させながら語られる。ここでもハリウッドは当然史実を捻じ曲げた映画しか作っていない。 そして「アラビアのロレンス」の実情と、中東問題をもたらしたイギリスの「三枚舌外交」を説明する「アラブの目覚めと『ロレンス』伝説」。映画の中で描かれる悪役のステレオタイプとしてのアラブ人像を分析した「征伐されるアラブ人」など。 各章とも、目からうろこが落ちる経験をたっぷり味合わせてもらった。 自分がいかに物事を知らないかを、知る。これぞ読書の醍醐味。 【ハリウッドについて】
T)ふうー。…。 A)なんだよ。いきなりため息なんてついちゃって。 T)なんかつらくなったよ。この映画。 A)映画の広告欄では、沖縄のこの映画館では今週のベスト5に入ってたけど。 T)面白くないってわけじゃないんだけどね。何かこう。もやもやとね。 A)これじゃ、このブログの目指す紹介文にならないなあ。もう終わるかい? T)いやいや、多くの人に見て欲しい映画ではある。でも、覚悟が必要。ヒーローが危機を救ってくれるなんていう物語じゃないからね。 A)2001年の9・11テロで乗っ取られた飛行機の話なんだよね。 T)一機だけ、テロリストが狙ったところじゃなくて、空き地かなんかに突っ込んだよね。その飛行機の中の話。 A)乗客がテロリストに抵抗したという証言が、客と電話で話した家族などから寄せられたって話だっけ。 T)みんなさ、自分たちが助からないって分かった後、家族とかに携帯で電話すんだよね。その情景が切なくてさ。一人で映画館で涙ぐんじゃったよ。 A)救いのない話なのか。。。 T)でもね、自分はこうも見たよ。正義のヒーローがいて、何でもソイツが解決するわけじゃないってこと。これはさ、アメリカが世界で唯一のヒーローで、自分たちが何でもできるって、おごり高ぶっていることへの批判が込められているんじゃないかってね。 A)なるほどね。アンチクライマックスこそが、現実だってことか。 T)「愛国映画」「ナショナリズム高揚映画」って見方があるのも事 実だし、映画を売る側は「勇気の物語」なんて空疎なキャッチコピーつけてるけど、この映画の本質は、そんなところにはない気がするんだよね。 A)でも、勇気ある乗客が出てくるんだろ。 T)確かにそう。それは否定しない。残された家族は、そう思うことで最愛の人が理不尽な暴力で死んだことを納得しようとすると思う。だけどさ、その大元を考えたいんだよ。石油をジャンジャカ使っているアメリカの世界戦略が生んだのが、あのテロでしょ。そのことに想像力を広げつつ、失われた命を惜しむ。そういう見方がいいんじゃないかな。 A)「善」「悪」と世界を割り切って考えないほうがいいってことか…。 T)そう、乗客は善でテロリストが悪じゃないんだよ。おそらく、その二つは入り組んでいるんだよ。もちろん人の命を奪うことは悪。だからテロリストは悪。でも、その対立を超えたところに、何があるのか。それを忘れないようにしたいなあ。 A)なんだか今回はシリアスな話になったね。 |